「杏?おきろよ」


トントンと肩を叩かれて目覚める。あぁそうか。昨日あのままここで寝たんか


「おはよう、泉」


昨日は、お互いの家のことを話した。スコーピオンの話までしてる余裕なかった。

泉は…頑張ってるんやから



「なぁ?昨日考えててん」

「ん?あんなにすぐ寝といて?」


スープを入れて、笑いながらあたしの元に泉はきた


「寝ながら考えてん!」


器用だなと小馬鹿にされたが
変わらず泉が接してくれることが嬉しかった


「あたしももう少し、自分の運命に抗ってみる。できるかは分からんけど、精一杯やってみる。泉みてたら、勇気もらった」


偽り続けた自分の心をすこし解き放てた

そして部屋を出る時に気づく


「うわ、なんだこれは」


泉の携帯に鬼のように着信が入っていた。
そうか、バイト迎えに言ってそのまま帰ってこんって皆んな焦ってたんや


「ちょ、はよ電話したり!血眼になって探しとるで」


あたしにも新から鬼電が…
朔達の番号も聞いとかなあかんな