「俺は…自分の組みを終わらせようとしてる」

「え?」


顔を上げて俺を見る杏は戸惑いの表情
そうだよな。自分の親が作ってきた組を、いくらやりたくないからといって、息子の俺が終わらせるのはおかしいかもしれない

でも


「どんどん組の経営は悪化していて、ダメなことに手を出そうとしている」


そう。俺の親父は、経営が傾くにつれて、やばいものに手を出し始めた。いつ殺されてもおかしくない。
俺は、親父を止めたい

こんな組ならいらないと言って家を出たのは3年前。



「俺は、親父を引退させて、組を解散させる。それが俺の2年後のミッションだ」


「泉…ほんまに強いな」


「組の中でも、着いていけないと思う人達は多くて、俺はその人達に声をかけている。絶対に俺は後は継がないし、それに…決められた運命なんていらない」


たとえそこに、財力や権利があっても



「杏は?」

「え?」


「杏は、その決められた道を受け入れてるのか?」


抗えよ。どんなに財力や権利があっても、俺たちは1人の人間なんだから