「本当にいいんですね?」


この質問は何度目だろうか。
なんとも言えない表情で問いかけてくる。

あたしの答えは決まっている。


「うん。もう決めたから」


長い髪をバッサリと切る。ここにあたしの想いは置いていく。

床に落ちる自分の髪を見て目を閉じた。

大丈夫。あたしはやっていける。



「杏様、終わりましたよ」



目を開け鏡を見ると、よく似ている。




あたしの唯一の妹に



「志木?なんであんたが泣いてるん? 」

「あなたが泣かないから。わたしが泣いてあげてるんです」


そう言う志木は悲しそうに笑った。
泣いてあげてるって、上からやな。

あたしも釣られて笑った



住み慣れた街を出る


「志木ここでええよ」

「ホームまで見送ります」


志木は頑固だな。あたしの荷物を持ち前を歩く。この姿は今日で見納めかと思うと少し寂しい

ホームに新幹線が到着する。





「ありがとう。志木に任せてごめん。みんなのこと宜しく」



ニコリと微笑む志木が遠くなる



そう。あたしはこの街を出る