【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


数秒間無言で杏とあの女は向かい合う

そして杏はクルリと振り返り俺の前にしゃがみこむ


「ゆっくり息吐いて?」


そう言い俺の右頬に触れる
触れられても、不思議と怖くなかった


「大丈夫やで」


そうニコリと笑って、ペチと鳴る位に頬を叩かれた


「あたしが来たから、もう大丈夫」


強くいい再び立ち上がり前を向く



さっきよりも視界が晴れて、杏の背中は大きく見えた




「あなた…響くんの何?響くんはあたしのものよ!」


「響はあたしの仲間や。そんであたしはお前が嫌いや」


はぁ?と女は言う


「人のことモノ扱いすんな」

「ふん。だって5年前、あたしと響くんは結ばれたの。あたしのこと愛してるって言ってくれたわ」


そんなこと…言ってない
無理矢理酷いこといっぱいしたくせに!
でも怖くて口は動かせない



「え、愛してる?あんたを?笑かすなや。お前のどこに愛される要素あんねん」



馬鹿にしたように杏は笑った



「もしそれがホンマなら、響の目、いっぺん突いたるわ」