数秒間無言で杏とあの女は向かい合う
そして杏はクルリと振り返り俺の前にしゃがみこむ
「ゆっくり息吐いて?」
そう言い俺の右頬に触れる
触れられても、不思議と怖くなかった
「大丈夫やで」
そうニコリと笑って、ペチと鳴る位に頬を叩かれた
「あたしが来たから、もう大丈夫」
強くいい再び立ち上がり前を向く
さっきよりも視界が晴れて、杏の背中は大きく見えた
「あなた…響くんの何?響くんはあたしのものよ!」
「響はあたしの仲間や。そんであたしはお前が嫌いや」
はぁ?と女は言う
「人のことモノ扱いすんな」
「ふん。だって5年前、あたしと響くんは結ばれたの。あたしのこと愛してるって言ってくれたわ」
そんなこと…言ってない
無理矢理酷いこといっぱいしたくせに!
でも怖くて口は動かせない
「え、愛してる?あんたを?笑かすなや。お前のどこに愛される要素あんねん」
馬鹿にしたように杏は笑った
「もしそれがホンマなら、響の目、いっぺん突いたるわ」



