足に力が入らなくなり膝から崩れる
女が視界に居るだけで呼吸ができない
ヒューヒューと喉がなり苦しくなる
息ができない
泉に繋がったのか、携帯から、どうした?と言う泉の大きな声が漏れる
ごめん、泉、俺やっぱり
「響くんは、私のオモチャでしょ?」
異様に赤い唇がそう言う
俺やっぱり怖いや
ゆっくり女が近づいてくるが、逃げもできない。指先1つ動かない
ただ呼吸ができないだけ
目を瞑りたいのに、目蓋さえ動かせない
こわい
やめてくれ
もうあの血を思い出したくない
俺にも大事な仲間ができたんだ
俺にも恩返しさせてくれよ
なんで何も……できないんだよ
もう諦めかけたその時
俺の視界に、小さな背中が現れた
俺と女の間にスッと立ったのは
杏だった
遮られて呼吸が少し戻る
「あ、杏…」
「なんや?」
「そ、そいつが…俺の…」
そして明るい声とは違い、地を這うような低い声を出した
「お前か、響をこんな風にしたんは」



