【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


「杏、もう少しここに居ていいか?」


そんな優しい声が出るんやね。あの路地では、なかなか威圧的な感じやったのに。

まぁなんやろ

拾ったんあたしやし


「好きにしてええよ。カレーできるまで、あっちの部屋で待ってて」



もうこんな事無いと思ってたのに。
少し昔を思い出してしまった。

志木も…

昔そんな感じやったな
志木もあたしに拾われたって言ってた。



大人しく言うことを聞いて、テレビのある部屋に、泉は入っていった。


こっちで、こんな事するつもりはなかったのに。
ひっそりと過ごして、約束の日まであたしは、ただただ生きる。


寂しい話やな


スパイスを入れて味見してみる。
うん
美味しくできた。


ピーンポーーン


…珍しい。誰かウチに来た


部屋番号間違えてるんちゃうやろか?
手をさっと洗いインターホンに近づく。


そこにはガラの悪そうな男が4人…
まさか泉のこと追ってた奴?いや、なんで場所わかったん?


居留守してやろうか悩んだとき、でかい声がモニターから聞こえた。



" もしもーーーーし!居るのは分かってんだよ!さっさとここ開けやがれ! "