妖怪界は、晴天のいい日を迎えた。
小鳥が鳴き、少し肌寒い風が素肌を通る。
城の中はいつも慌ただしい。
自分たちのご飯を作り、一日で汚れる城を掃除し一息つく頃にはお昼を迎えている。
「長!連絡が来たんですけどお父さんさまが、今城にいるみたいです!」
「え!じゃぁ、朝ごはん出さないと行けなかったじゃん!どーすんの」
「そ、それがお部屋にはいらっしゃらないんですよ!」
「マジか。みんなで手分けして探すぞ!」
「「おっす!」」
部屋という部屋を開けるもそこには王は、いなかった。
思いつく部屋はもうなくみんなが城にはいないと思った時。
「もしかして透さまのお部屋?」
「えっ、でも王さま。なかなか1人では入らないですよね」
「うん……お辛いみたいだからね」
「でも、行ってみます?」
「うん」
襖の前で一息付き、深呼吸をしたあとゆっくりと襖を開ける。
そこに居たのは。
「!!」
「!!」
「嘘でしょ」
そこには誰もおらず、抜け殻の布団だけがあった。
城中、王と透が消えたと大騒ぎになり城下まで噂が広まっていた。
その時2人は、ひよじぃの店でゆっくりとお茶をしていた。
「透さま!」
「ちょ、泣くなよ!」
「だぁってぇー、嬉しいんですよー」
「ふふ、泣き虫ね」
「王さまー!」
「こら!キキに抱きつくな」
ドンドンドンドンドン、戸を強く叩かれ誰かと思いきや窓から街中を見渡してみると多くの人が誰かを探しているようだった。
「ひよじぃ!王さまと透様見なかったか?」
「ふぇ?さっきからー」
「あーも、なんで朝っから泣いてんだよ」
急いできて、急いで出ていった。
?なんだありゃ?
「透、行ってみよ」
「おう」
みんなはひよじぃの店の前を通りすぎて先に行っている。
そのあとを静かに追うことにした。
「誰探してるんだろ?」
「さー?」
「話しかけてみる?」
「うん」
とんとん。
「ちょっとなんだよ!いそが、し」
「すまん」
「お、王さま!!!!!」
「うわぁー!!」
「うるせ」
「「透さまもだぁー」」