あの日約束したアイドルデビュー。
その時が刻々と近づいてきている。
今日が、初めてのダンス合わせ日。
綺麗に整備されているスタジオは広かった。
「鬼輝さんが到着されましたよ!」
「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
楽しそうに近寄ってきたのはゆーくん、弓弦だった。
5年前にアイドルとしてヒットし、それからは何度もテレビで見たことがある。
「弓弦さんですよね。私は鬼輝です。お願いします」
「そんな堅苦しくしないでくださいよ」
「ほんとですか?じゃぁ、お言葉に甘えて」
それからは30分ほど個人練習が入り、それぞれ鏡と向き合いながら踊る。
鬼輝は、初めてにも関わらず上手い。
「なんでそんな上手いん?」
「天才だから」
「マジか」
「うそうそ。サラに怒られたら怖いからね」
「それは分かる」
「何がわかるって?」
「「うわぁ!」」
後ろから現れたのはルイを抱えたサラだった。
小学生になったルイは、少し物事が理解できるようになった。
「やっほー」
「こんにちはでしょ」
「こんにちは」
「大きくなったね」
「そうでしょ!いまさっきもおにぎり二つも食べたのよ」
「ははは!」
「あっ、着物ありがとう。可愛かった」
「ほんと?お母さんとお父さんに言っとく」
「ルイ、あっちで遊んできて。さっ、はじめよう」
2時間ほどぶっ通しで、踊り続ける。
3人の相性はよく出来栄えは最高だ。
休憩を挟み、おやつタイムを入れていると。
「キキ、お父さんが今度舞台するんだけど主演として出てくんない?」
「え!ほんと?」
「うん。それもヒロイン役」
「ど素人だけどいいのかな?」
「そこは問題ない。お父さんは厳しいから」
「あーね」



