「………」

ああ。慧のことコロスって言ったやつかな?

「妬くよ? 兄さんにも妬いてたから」

「お兄ちゃんに⁉ 私、お兄ちゃんと仲良くないよ?」

「そうかなー。あ。あと、実はさっき、尚に足踏まれてたんだよ?」

「えっ?」

「足のケガが尚の選手『生命』奪ったわけだからさ。俺が言ったこと当たってたでしょ?」

尚が無意識だったとしても、尚にとって命であることに変わりはない。

「だ、大丈夫なのっ? け、ケガっ!」

美結が血相変えて見上げてくる。

「そこまでいってないよ。尚、すぐに勘違いだって気づいたし」

「よかった~。……尚って本当、玲奈のことになると周りが見えなくなるんだね……」

「新垣がまともな人種で助かったな……」

尚はもともと、どちらかと言うと常識人で、僕と美結の扱いもうまかった。

「あとね、美結。いつ折れても大丈夫だったんだよ」