ママの手料理

「これ時計回り?時計回り?じゃあ俺じゃん」


続いて座ったまま話し始めたのは、大也さん。


「18歳の伊藤 大也でーす、此処での役割は…確か次男辺り?三男だっけ?確かその辺で、今はバイトやってます。後……言ったと思うけどこの白い髪は地毛です、はい」


(次男か三男かも分からないって、どういう事?)


自分の家族構成が分からないなんて。


「お前源氏名も言っとけよ、まあどうせ同じ名前だけどな」


「バイトなんて誤魔化す必要ないんですよ、お店でNo.1のくせに」


「さっき言ってた例の実家の話はしないの?」


他の人が大也さんに色々リクエストを飛ばしている中、若干驚きながらも、私は彼に向かって軽く頭を下げた。



「何で時計回りなの意味分かんないんだけど、僕はトリを飾りたかったのに」


続いて、大也さんの隣に座っていたあのナルシストさんが不平を言いながらも口を開いた。


「24歳、伊藤 仁(いとう じん)。隣の“パパの手料理”っていう、タピオカとワッフルを売ってるお店で働いてる。此処での役割は、確か母親かな?……あ、僕には双子の弟が居るんだけど、いつか会った時は宜しくね」


「宜しくお願いします、ナルシストさん」