「この殺人事件は、きちんと計画されてた。これはお前の色々な証言だったり現場の様子からも分かる事だ。…まあ、後で全部詳しく説明してやるよ」


「はい、」


琥珀さんからぶっきらぼうに説明されても、いまいちピンと来ない。


「と、いう事でだ。俺らは既に、この事件の唯一の生存者であるお前の過去を調べた」


何が、“と、いう事で”なのか分からないけれど、私はその後の台詞を聞いて身体を強ばらせた。


(調べた……?)


「でもね、丸谷さん。私達が調べたのは戸籍の所らへんまでで、詳しい事は今調べてる最中なの。だから、丸谷さんに話してもらって、それと調べたデータを照合して間違いがないかを確認したいんだけど、話して貰えるかな?」


ぎょっとしている私に気付いたのか、中森さんが優しい笑顔を私に向けながらフォローをしてくれる。


「俺らが調べたのは、お前の前の名前までなんだ。だから、お前はどうして今の家族の一員になったのかを話せ」


続いて琥珀さんがだるそうに助け舟を出し、





「さっさと言え。丸谷 紫苑………いや、谷川 紫苑」





私の、以前の名字である“谷川”という言葉を口にした。