(えっ……)


(何が起こってるの……?)


そういえばもう、お母さんの数を数える声もお父さんのわざとらしい声も聞こえてこない。



今聞こえてくるのは、


「見つけた!隠れるなら足もしっかり隠さないと…」


「やだぁぁっ!何するのねえやだぁっ…!?……」


見つかって、叫んでは消えていく弟の声。


「あ、いたっすね」


「ひっ……、…」


息を飲んで、ドンッと何処かから落下する妹。


「みーっけた!‪」


「何、するの……?」


「君の両親と同じ所に逝かせてあげるの‪!…ふ、これだけ聞いたら俺めっちゃいい子‪じゃーん」


怯えた声を部屋中に響かせながら消えた、弟の声。



(待って……皆、どうしちゃったの…?)


誰にも言えない疑問が、胸の中に渦巻く。


私の抱くこの感情は、恐怖を通り越したものだ。


(私も見つかるの?見つかったらどうなるの?)


クローゼットの中で、冷たくなった手を擦り合わせてぎゅっと目を瞑っていると。



「僕1人殺したぁ」


「そんな報告要らねえから。そんな事よりもう生きてるやつはいないよな?」


「うん俺を除いて」


「お前まじ禿げとけよ‪」


そんな風に話し始めた、知らない人達。


ここでやっと、彼らが男だという事が分かった。