私の脳裏に蘇る、虚ろな目。


血だらけの妹。


上から落ちる鈍い音。


「っ、………」


先程は泣いてしまったけど、目の前に琥珀さん以外の人が居るから泣きたくなくて。


顔を歪ませて俯いた私に向かって、


「………大丈夫か」


と問う琥珀さんの声が聞こえ、私は慌てて涙を引っ込めて顔を上げた。


「はい。……その後、親が100までゆっくり数えてて、そしたら、誰かが、」


息を吐くスピードが自然と早くなる。


「誰かが?」


「っ、多分、男の人達だと思うんですけど、その人達が家に入って来て、そのまま多分、っ…殺したと思います、」


ふーん、と妙に腑に落ちない顔で心のこもらない相槌を打った彼は、不意に尋ねてきた。


「鍵は?」


私は唾を飲み込んで目を閉じた。


呼吸を整えながら、必死で思い出す。


あの人達が騒ぎながら入って来る前に確か、“ガチャリ”という音が聞こえた。


「鍵、閉めてました。チェーンも」


だろうな、現場と一致してるわ、と頷いた琥珀さんは、中森さんから受け取ったある写真を見せてきた。


「これはお前の家の玄関の写真だ。鍵は針金の様なもので綺麗にこじ開けられてるし、チェーンはしっかりど真ん中で切られてる」


これがどういう事か分かるか?、と問われ、私は良く分からずに首を振った。