そして、笑美さんが作ってくれたという和食を食べた後、私は目が覚めたらしい琥珀さんに連れられて警察署に向かっていた。
靴と洋服は、許可を得て笑美さんのものを借りた。
琥珀さんが運転する車の中、助手席に座った私は窓に頭をつけて後ろに流れる景色をぼーっと見つめていた。
丸谷家は兄弟が多い為、車は大型車だった。
お父さんが運転して、助手席にはお母さんが座って、後部座席には私達兄弟が座って。
1度も静かになる事が無いその空間は、車に乗ったら曲を聴いて静かにしている事が多い私にとっては少しだけ苦痛だった。
どちらかと言えば、少しでいいから静かにしていて欲しかった。
けれど、あの頃はうるさいのが当たり前だったから、こうやって家族が居なくて車に乗っていても騒がしい声が聞こえない空間は寂しいもので。
(何であの時、うるさいなんて思ってたんだろう……)
あの家に引っ越してきてから、ドライブなんて滅多にしていなかった。
こんな事になるなら、ドライブ中に1人の世界に閉じこもらないでもっと家族と話していれば良かった。
「…………おい、大丈夫か」
(……え、?)
完全に1人の世界に閉じこもっていた私は、隣で器用に左手だけでハンドルを握る琥珀さんの声で我に返った。
靴と洋服は、許可を得て笑美さんのものを借りた。
琥珀さんが運転する車の中、助手席に座った私は窓に頭をつけて後ろに流れる景色をぼーっと見つめていた。
丸谷家は兄弟が多い為、車は大型車だった。
お父さんが運転して、助手席にはお母さんが座って、後部座席には私達兄弟が座って。
1度も静かになる事が無いその空間は、車に乗ったら曲を聴いて静かにしている事が多い私にとっては少しだけ苦痛だった。
どちらかと言えば、少しでいいから静かにしていて欲しかった。
けれど、あの頃はうるさいのが当たり前だったから、こうやって家族が居なくて車に乗っていても騒がしい声が聞こえない空間は寂しいもので。
(何であの時、うるさいなんて思ってたんだろう……)
あの家に引っ越してきてから、ドライブなんて滅多にしていなかった。
こんな事になるなら、ドライブ中に1人の世界に閉じこもらないでもっと家族と話していれば良かった。
「…………おい、大丈夫か」
(……え、?)
完全に1人の世界に閉じこもっていた私は、隣で器用に左手だけでハンドルを握る琥珀さんの声で我に返った。