｢えっ！？｣


まさか盗み聞きをしていた事がばれていたとは全く思っていなかった私は、先程までのショックと悲しみは何処へやら、湊さんにされるがままに先程までの声の持ち主が集結しているテーブルの空いた席に座らされた。


｢おはよう紫苑ちゃん！良く寝れた？｣


何となく微妙な顔で黙り込んだ琥珀さん達を後目に、白金の髪を揺らした大也さんだけが大きな声で挨拶をしてきた。


｢おはようございます…。いや、はい、まあ、？｣


挨拶の後に、肯定なのか否定なのか分からない返事をしてしまった。


朝っぱらから気分の悪い……というか現実味のありすぎる話を盗み聞きしてしまって、大也さんのテンションに追いつけない。


｢ねえ大也、君の能天気さはつくづく羨ましくなるけど今は状況考えて｣


すかさず、昨日も見たあのナルシストの人が大也さんを睨んで口を開く。


｢盗み聞きも良くないだろ｣


続いて、昨日洗面所で一瞬だけ見た黒髪の男の人が私を見ながら口を開いた。


その目は前髪に覆われていて、果たして私を普通に見ているのか睨んでいるのかすら分からない。


(怖、！)


その人から漂う怖すぎる雰囲気に、思わず私は身震いをしてしまった。