「…ん?別に大丈夫だよー」


けれど、くるりとこちらを向いた大也さんの顔には微笑みが浮かんでいて。


彼が怒っていなかった事に安心した私も笑顔になり、まっすぐ自分に与えられた部屋の方に歩いて行った。


「今日は、本当にありがとうございました。………おやすみなさい」


「うん、おやすみ。あ、寝れなかったらいつでもおいでね。俺の部屋が嫌だったら、隣の部屋の人とかを起こしても大丈夫だから。…本当に、無理だけはしないで」


大也さんは最後まで私の事を気遣いながら、自身の白金の髪の毛をかきあげて部屋の中に入って行ってしまった。


それを見届けた私も、自分の部屋に入る。



部屋は6畳よりも少し大きいくらいの大きさで、シングルベッドが1つと、勉強机が1つと、ベッドの近くには窓があり、そして、クローゼットがあった。



「ゔっ……、」


クローゼット。


その中に、私は隠れたのだ。


皆が殺されたのも知らずに、親が探してくれないな、なんて呑気な事を考えて。


そこから出たあの瞬間、私は血の海と、家族全員の息絶えた姿を見たのだ。


何故、私は生きているのだろう。


(こんなの前と一緒じゃん………、何で私ばっかり、)


家族が死んだ中1人生き残るなんて、最悪な運だと思う。


世間的には生きていただけで喜ばれるのかもしれないけれど、私としては生き地獄だ。