驚きながらそう聞いてみると、


「え?ううん、これが地毛だよ。因みに自慢じゃないけど染めてないよ。あっちの…黒髪の方はウィッグ」


信じ難い答えが返ってきた。


しかも、私の後ろでは、


「大也、お前ウィッグ取るならちゃんと紫苑ちゃんに言ってから取りなよー。それから僕もう寝るから、後はよろしくね」


ずっと付けていたエプロンをここぞとばかりに外しながら、湊さんがそんな風に言い始めて。


確かに何も食べていなくてお腹は空いていたけれど、


「そっか、おやすみー」


と返す大也さんも欠伸を噛み殺していたから、さすがにまた迷惑は掛けれないと思った私は、


「あ、私ももう寝ます!」


思わず手を挙げて発言した。


「ほんと?じゃおいで、部屋まで案内してあげるー」


いつの間にか、リビングから湊さんは居なくなっていて。


大也さんは笑いながら、私に向かっておいでと手招きをした。



「紫苑ちゃんの仮の部屋は、皆と同じで2階にあるからね」


階段だから気を付けてね、と言いながら、彼は1段飛ばしで階段を上っていく。


「部屋…余ってるんですか?」


「うん、3部屋くらいね。ちゃんとベッドとかあるから安心して!」


(凄い、3部屋も…?)


この家に人が何人住んでいるのか分からないけれど、それでも部屋が余っているのは凄いと思う。