ママの手料理

すごく簡潔で、逆に素晴らしいと思った。


そしてほぼ一方的に話して一方的に電話を切った警察官さんは、んーっと伸びをして立ち上がった。


「んじゃ、行ってくるわ。お前ら、この子と留守番頼んだ。…クソねみぃからタクシー拾って行くか、」


「わ、私は此処に居て良いんですか…?」


待って、琥珀のコート!、と飛んで行った大也さんを後目に、私も立ち上がって恐る恐る尋ねた。


「は?」


何故か大也さんにコートを着るのを手伝って貰っている彼は、振り返って怪訝そうな目をこちらに向けた。


「逆に何処に行こうとしてんだよ、野宿か?…まぁ、明日どうせ警察署にお前を連れて行くことになるだろうから、今はゆっくり休め」


そして、コートを着終わった彼は手帳とスマホをポケットの中に押し込み、ドアを開けて振り向かずに一言。


「ちゃんと風呂入れよ。…後お前、予想以上にチビだな」


160cmの私を、“チビ”と呼んで出て行ってしまった。


「…紫苑ちゃん、どうか落ち込まないで。琥珀は本当にひねくれた性格というか何というか…。まあ、とにかくお風呂入っておいで。大也、案内してあげて」


唖然として固まる私にそう言いながら、湊さんは小さくため息をついた。