ママの手料理

空気を読んだ私は、はあ、と曖昧に頷いておいた。



「それ、本当なんだろうな」


私が一通り話し終えた後、警察官さんは鋭い眼光で私を見つめてきた。


いや、睨んできた。


「ごめんね、こんな感じだけど琥珀は怒ってないから…」


その隣で、湊さんが苦笑を浮かべている。


「は、はい。本当です」


私は、内心恐れおののきながらそう答えた。


「…はぁー、」


すると、左手で小さなメモ帳にメモを取っていた彼は、ため息をついてポケットからスマホを取り出した。


「何でその辺に転がってる交番に行かなかったんだよ大也。この子は土地勘無かったから仕方ねぇんだ、代わりにお前が連れて行けば良かったじゃねぇか。…ったく、マジめんどくせぇ」


俺の睡眠時間が…、と警察官さんは大きく舌打ちをして、耳にスマホを押し当てた。


警察官さんは、非常に口が悪いようだ。


こんな所に来ないで交番に行けば良かったかな、そうしたら保護して貰えたかも…、としゅんとしている私と、私よりもショックを受けている様子の大也さんに、


「あー気にしないで、いつも琥珀はこんな態度だから」


湊さんが、目を瞑って頷きながらフォローしてくれた。