ママの手料理

(あああどうしよう、待って琥珀、違うよ、)


釣られて泣き出しそうになるのを必死で堪えた私は琥珀の目の前に立ち、違う、と首を横に振った。


「違うよ琥珀、これは……」


ここで、私のせい、と言ってはいけない。


こんな事を続けていたら負の連鎖になってしまうだけだ。


これは間違いなくラムダが原因で、私や琥珀のせいではない。


とにかくそういう事にしておかないと、私の前で初めて涙を見せた琥珀が壊れてしまいそうで。


「大也は、琥珀の事が大好きだったんだからっ…!守りたい人守れたんだから、苦しいわけないじゃんっ……!嬉しかったに決まってるって……!」


言いながら、また涙が溢れてきた。


涙でぐちゃぐちゃな顔を隠すように琥珀の胸に顔を押し付け、彼の動かない右手を何度もさする。


彼の右手は感覚がないから今私が触っているのも伝わらないと思うけれど、この思いだけは伝わって。


「私も、もう自分のせいって言わないから…!琥珀も言っちゃ駄目、大也が戻って来た時気まずくなるでしょ……?」




どうして、大也が琥珀の事を好きになったのか何となく分かった気がした。



琥珀は強い。


精神も肉体も有り得ないくらい強くて、ハンディキャップなんてものともしないくらいの勢いがある。