ママの手料理

その言葉で我に返ったらしい警察官さんは、私の方を向いて尋ねてきた。



これから話す事が、嘘でないと思って貰える様に。


頼れる人が、もう警察の人しか居ない事を分かって貰える様に。


私が、また独りぼっちになってしまったのだと感じて貰える様に。


私は、何度も頷いてから口を開いた。


「はい……。今日、親に隠れんぼをしようって言われて、…」



私は、事の一部始終を全て話した。


午後、急に両親から隠れんぼをしようと提案された事。


その後、私達は思い思いにクローゼットの中やカーテンの後ろ等に隠れて、隠れんぼが始まるのを待っていると、急に知らない男の人数人が訳の分からない事を口にしながら家に侵入してきた事。


そして、両親や幼い兄妹達の叫び声、倒れる音、その他諸々の耳を塞ぎたくなる様な声や音が聞こえて。


しばらく経って男の人達が家を出て行き、私が眠りから覚めてクローゼットから出ると、そこには家族全員の死体があった事。


既に絶命した彼らと一緒に居たくなくて、怖くて怖くて一目散に家を飛び出して、土地勘も無い中必死で家から離れようと歩き続けた事。


そして、公園に……。



「あー、何か偶然俺と会っちゃったんだよね、道端で!ね?そうだよね!?」


途中で、急に大也さんが話を遮ってきた。


先程も感じたけれど、どうやら彼は私に“公園”という言葉を使わせたくないらしい。