「……おい、いつ俺がテレビのチャンネル変えていいって言った」


「いや、あんな刑事ドラマ誰も興味ないですから!こっちの映画観ましょう映画」


「僕にとって映画にはポップコーンが必需品なんだけどさ、そういうサービスないのここ」


「警察病院を映画館と勘違いするな、黙ってお前は寝てろ」



何処からか、久しぶりに聞くmirageの声が聞こえる。


(皆……)


私は、ゆっくりと目を開けた。


「あのさ皆、そんなにうるさくしてたら紫苑の気分を害す……って、あれ?起きたの?」


目の前の無機質な白い天井に、いきなり湊さんの顔がどアップで現れた。


「うわ、……」


私の驚いた声に、


「おお、起きたか」


「おはようございます!紫苑さん、あれから4日も寝てたんですよ!」


「頭の傷はまだ痛い感じ?ちなみに僕は壱のおかげで肩脱臼したけどね」


私の周りに、わらわらと人が集まってきた。


顔や腕に包帯が巻かれたり、ガーゼが貼られたりしている彼らの姿はとても痛々しくて。


「あの、私……」


感謝と謝罪の言葉を言いたくて起き上がったら、自分の頭に尋常ではない痛みが駆け巡った。


「いったあ!?」