ママの手料理

というより、身体中が痛い。


(ちょ、助け、……)


誰かに助けを求めようとするけれど余りの痛みに声も出ないし、皆が皆作業に追われていて誰も私の異変に気付かない。


最後の望みだと思って伊織の方を向いたけれど、彼は彼で泣きじゃくっていて気付いてくれる様子は無く。


(痛い、…!)


余りの痛さに、段々と視界もぼやけてくる。


朦朧とする意識を手放そうとしたその瞬間、



「え?大也さん!?…ど、どうしたんですか!?身体…これ痙攣ですか!?」


航海の焦りの滲む叫び声が耳をつんざいた。


(え…大也、?)


ドタドタと何人もの人の足音と声が聞こえるけれど、その全てが混ざっていて何も聞き取れない。


大也の身に何が起こっているのか、これからどうなるのかも分からないまま、限界を迎えた私はふっと意識を手放した。










━━━━━━━━━━━━━━━……………………


(……やばい、)


目の前で恐怖に怯え、震えているはずの紫苑ちゃんがよく見えない。


(目眩がする、しかも全身痺れてきたし、、)


会長室に入った直後から、もう俺ー伊藤 大也ーは支えなしで立つことは不可能に近かった。