あれはきっと、私に全く別の計画を知られたらまずいことになるから、という考えがあったからだろう。


(私、何も知らなかった……)


皆、怪盗だとはいえ騙すのが上手過ぎる。


思わず感嘆の溜め息を漏らしてしまった私に、


「敵を欺くにはまず味方からって言うもんね!」


湊さんが、私にウインクをして見せた。


「その3つの計画はだな、…1つ目に皆で話してたのが、お前がOASISにこっちの情報を全部垂れ流すと思って作った偽のものだ。つまり、お前がOASISに教えた計画はゴミと同レベル」


再び話題が戻り、壱さんが口を開いた。


「2つ目に作った計画は…、俺らが盗むものを荒川次郎の首ただ1つに絞った。宝なんぞどうでもいい、このクソガキの復讐さえ終わればいいんだからな」


「侵入する時間も経路も全て変えたんですよ?本当に大変だったんですから…」


銃を伊織に向けたままの航海が、わざとらしくため息をついた。


「で、3つ目の計画は…。盗むものが荒川次郎の首であることに変わりはない。追加された作戦は、伊織が裏切った時に俺達がどう行動するか、だ」


息を飲んだ。


「俺らは、お前が良い気になって荒川次郎に偽の情報を教えてる最中、死に物狂いで違う計画を考えたんだぞ!?…しかも俺らは最後までお前を信じてたから、2つ目の計画が実行されるのを最後まで望んでた!」