｢紫苑に僕らの色々な話を吹き込んだのも、紫苑と仲良くする事で疑われない様にするっていう魂胆だろう？…そして、君は何日も僕らの家に帰って来なかったね。琥珀に1度後を付けさせたら、君が此処に来ている事が分かった｣


｢おまっ、…卑怯だな、付けてたのかよ！？｣


伊織が大声を出し、悪いか、と、琥珀が真っ黒に染まった声でそれを一蹴した。


｢その後！…僕らは夜な夜な、紫苑と伊織抜きで会議を重ね、紫苑と伊織と一緒に考えていた偽の計画とは全く別の計画を2つ作った｣


(え！？)


私は驚きのあまり目をひん剥いた。


私が予想していた通り、本当に彼らが夜中そんな事をしていたなんて。


(しかも、新しい計画を2つ…！？)


偽の計画を合わせると、彼らの頭の中には3つの計画が存在していた事になる。


その3つをこんがらないように理解して、私や伊織の前ではあたかも何も気付いていないような振りをして。


今まで、呑気に“計画はシンプルでいい感じ”なんて考えていた自分を殴り飛ばしたくなる。


(あ、)


そこで思い出したのは、ある夜中の大也と航海の会話。


夜なのに航海の部屋に入り浸っていた大也は、そこから銀ちゃん達と電話を繋いで何かを話していた。


そして、夜が怖くなった私が避難しようとした時、


『ごめんね、ちょっと生々しくて気持ち悪い話してるから、気持ちは分かるけど部屋に戻った方が身の為かも』


と、大也に拒否された。