(これ、本当に私が知ってる伊織なの…?首痛いし、身体中痛いし、何なの!?)


思わず心の中で悪態をついてしまったと同時に、


「ええっ?でも伊織さん、OASISから逃げて来たから僕らと家族に…」


血だらけの右足を庇うように若干体勢を変えながら、航海が驚いた様な棒読みの声を上げた。


「何家族って気持ち悪。赤の他人同士でチーム作るならまだしも、家族なんてねぇ…ごっこ遊びか何か?俺、お前らと家族になった覚えなんてないんだけど?あと航海裸眼で俺の事見ないでキモい」


すかさず言い返す伊織に、


「サングラスはあなたの部下に壊されたんです、弁償してくれないようだったので殺しました」


mirageの中で最年少の少年は、首を傾げて銃の先を伊織に向けながら言い放った。


「何でお前クソガキを誘拐するなんて真似したんだよ!?馬鹿なのか!?…大学で犯罪心理学学んでたんならお前のその行動の深刻さも分かんだろ!?」


「OASISの幹部は12人だなんて嘘つきやがって!消されたはずの13人目がお前だったなんて…ふざけんな!」


静かな部屋に、壱さんと銀ちゃんの怒鳴り声が響いた。


黙りこくっている大也に至っては、静かに涙を流していた。