不敵な笑みを浮かべ、殺気のオーラが見え隠れする銀ちゃんと壱さんがすっと前に出てOASISと無言の戦闘を始めた。


銀ちゃんの氷の如く冷たい目は、ガンマが部屋に閉じ込めた幹部ーイオターをターゲットに捉えている。


あんな殺気立った目で見つめられたら、さすがの幹部でも身震いしてしまうだろう。


対する壱さんは、身体の関節という関節をゴキゴキと鳴らしながらデルタと間合いを詰めていた。


ひひっ、と笑いながら先に攻撃を仕掛けたのはもちろん壱さんで、その手や足の動きは早すぎて何がどうなっているのかさっぱり分からない。



他の人は援護をしないのだろうか、と、他のmirageをそっと見ると、


「荒川次郎を倒すのは僕でいいかな?」


「俺に殺させろ、OASISの事が許せねぇのは俺もチビと同じなんだからよ」


「何を言っているんですか、ここはサイコパス航海に花を持たせるべきですよ!」


こんなに緊迫した状況にも関わらず、呑気に“誰が荒川次郎を殺すか”で言い争っていた。


(嘘でしょ……)


誘拐されて人質の身となった私でも、さすがにこのシュールな展開は予想だにしていなかった。


壁に寄りかかり、じっと事の成り行きを見守る大也と、無言で闘い続ける壱さんと銀ちゃん、そして何故か言い争う残りの人達。