(…あの時のおじさん…!いや、人殺し…!)
先程の伊織の言葉で、谷川家を放火したのはこの人だということがはっきりした。
谷川家の隣に住むOASISのリーダーが直々に火をつけ、幹部はこぞって丸谷家を殺した。
「あの時、どうして下っ端の人間に殺らせなかったか疑問に思っているのかな?…そうだね、質問に答えてあげよう」
寝たきりの私の周りをぐるぐるとまわりながら、その男はしわがれた声を出した。
「そうでもしないと、谷川家の人間が私の事を警察に教えそうだったからね。あの日は仕方なかったんだ…部下を呼んでくる時間も惜しかったし、早く2兆円を手にしたかった。…君さえ死んでくれれば一石二鳥だったんだよ、紫苑ちゃん?」
(!?)
そいつが私の名前を呼んだ瞬間、背筋に悪寒が走った。
嫌な冷や汗が背中を流れ、縛られた手が震えてくる。
「君の父親は勘が鋭かったんだね。彼は、火事の数日前に私がOASISのリーダーだと気付いてしまったようでね。やんわりと口封じをしようとしたが駄目だった。…仕方なかったんだよ紫苑ちゃん、誰かが生き延びるには犠牲が必要なんだから」
(は…?)
ご丁寧に説明されているけれど、今の私には何も理解が出来ない。
(気付いてたって何?お父さんは、この人がOASISのリーダーだって分かってたの?…だからあの日、)
先程の伊織の言葉で、谷川家を放火したのはこの人だということがはっきりした。
谷川家の隣に住むOASISのリーダーが直々に火をつけ、幹部はこぞって丸谷家を殺した。
「あの時、どうして下っ端の人間に殺らせなかったか疑問に思っているのかな?…そうだね、質問に答えてあげよう」
寝たきりの私の周りをぐるぐるとまわりながら、その男はしわがれた声を出した。
「そうでもしないと、谷川家の人間が私の事を警察に教えそうだったからね。あの日は仕方なかったんだ…部下を呼んでくる時間も惜しかったし、早く2兆円を手にしたかった。…君さえ死んでくれれば一石二鳥だったんだよ、紫苑ちゃん?」
(!?)
そいつが私の名前を呼んだ瞬間、背筋に悪寒が走った。
嫌な冷や汗が背中を流れ、縛られた手が震えてくる。
「君の父親は勘が鋭かったんだね。彼は、火事の数日前に私がOASISのリーダーだと気付いてしまったようでね。やんわりと口封じをしようとしたが駄目だった。…仕方なかったんだよ紫苑ちゃん、誰かが生き延びるには犠牲が必要なんだから」
(は…?)
ご丁寧に説明されているけれど、今の私には何も理解が出来ない。
(気付いてたって何?お父さんは、この人がOASISのリーダーだって分かってたの?…だからあの日、)



