ママの手料理

そうして、長距離走を走った後のような疲労感と右腕の激しい痛みに顔を顰めながら、俺は何とか7階に辿り着いた。



「くそっ、何でパスワードが違ぇんだ!?」


「おい開かねぇぞ、ほんとにこの番号だったのかよ!?」


「ここでちんたらしてると奴らが来ちまう、どうなってんだよ!早く開けろ!」


武器貯蔵庫の前では、数人のOASISがドアの横に取り付けられた機械に何度もパスワードを入力しながら狂ったように喚いていた。


彼らは焦る余り手が震えていて、背後に立つmirageにまるで気付いていない。


そして、そんな彼らに1番に近寄ったのは他でもない琥珀だった。


「ごめんなぁ、お前らがちんたらしてるから来ちまったよ」


右足を1番近くにいたOASISの片足に絡め、身動きを取れないようにしてから銃を相手のこめかみに当てる。


「ぁ、あぁ、……」


他のOASISも俺らの存在に気づき、言葉にならない声を発しながらパスワードをいれる機械の目の前に立ち塞がった。


「こ、この機械を壊したら武器貯蔵庫は二度と開かなくなるぞ!分かってんのかおまえら!」


「ふーん、知らなかったわ。教えてくれてありがとな」


OASISー幹部ではないだろうーの震える声を聞いた琥珀の口からふふっと笑い声が漏れ、銃声が1発鳴り響いた。