ママの手料理

「あ、……ガンマに、言われて…」


「ああ、そうか。悪かったな」


すると、意外にもその人は深く追求してくることはなく。


(ガンマって、本当に高い位に居るんだな…)


安心した私がその人の横をすり抜け、自然体を装いながら階段を降り始めたその時。


「……ん?おいお前!何で外に出てる!?」


先程の男性の後ろから別の男性が顔を覗かせ、訝しげな声を出した。


(ああ、絶対にこの人も幹部だ……)


「あの、ガンマに言われて、」


恐る恐る後ろを振り向き、そう言い訳すると。


「……いや、そんなはずは無いよな?あのガンマ様が女を連れているなんて……。まさかお前、丸谷、」


(あ、やばい)


私の姿を舐めまわすように見たその人は、迷う事無く銃を取り出して真っ直ぐ私に向けた。


「お前を殺せば2兆円」


「ひっ、」


瞬間、私は全てを悟った。


駄目だ、私はやはりここで死ぬ運命なのだ。


銃を向けられてガタガタ震える身体を、自由になった両腕で抱きしめた瞬間。







「俺が言ったって、言ってんだろクズが!」







上階から、ドスの効いた声と共に男の人が降ってきた。


その人が私に覆い被さったのと、新たな幹部の男が発砲したのはほぼ同時だった。




バァンッ………