ママの手料理

普段は穏やかで、無表情のくせにボケもツッコミも出来て人を笑わせる力がある彼だけれど、彼が本気になったら手がつけられなくなるのは同じ怪盗グループとして活動してきた俺だからこそ分かる事で。


(航海って、最強で最恐、そして最狂の男なんだよなぁ、実は)


こちらも鳥肌がたちそうになりながら、俺は新たに命を捨てようと向かってくるOASISに向かって笑顔で手招きをした。







「何だこいつ等、殺しても殺しても湧いてきやがる」


4階のオフィスでは、殺しても殺しても何処からかOASISが飛び掛かってくるという異様な光景に、流石の壱も頭を抱えかけていた。


最上階は8階なのに、まだ半分の階までしか到達していない。


2階には他のmirageが居るけれど、果たして彼らが3階に到達したのかすら分からずじまい。


「OASISのクソ野郎、俺らを死んでも最上階に到達させねぇって魂胆だなぁ?」


おいクソポリス、お前もしっかり殺してるか!?、と声を張り上げながら、壱は兎の様に跳ねながら蹴りと拳を繰り出してくるOASISを次の狙いに定めた。


湊が、


「人の命にも価値があるんだから、無闇に殺しちゃいけないよ」


等といつかほざいていた気がするけれど、そんなものは知ったこっちゃない。