ママの手料理

「……………」


無言で机やら椅子やらをOASISに向かって投げ、敵に重傷を負わせている湊が目に入った。


(怖!え、怖すぎる…!OASISお腹から血が出てるじゃん!)


湊からの睡眠薬の入った銃を活用しているのは、早くも俺しかいないのか。


そっかそっか…、と、俺がしゅんとした顔を浮かべたその時。



ゴキリッ…………



世にも恐ろしい、何かが折れる様なおぞましい音が反対側から大音量で聞こえた。


(…ああ、その音聞いたの今ので10回目…)


テーブルの影からナイフを持って飛びかかってきたOASISの男性の顔面に蹴りを入れ、ついでにそのナイフを自分の胸ポケットに入れながら、俺はちらりと航海の方を横目で伺った。


案の定、そこには、


「これ、ぎりぎりで生かしておくの凄く大変なんですよ。殺したい気持ちは山々ですが、僕にも多少は命の大切さが分かるので生かしておきますね」


次はないと言わんばかりに、首が折れているOASISの1人に向かって貼り付けた様な笑みを浮かべながら語りかけている航海の姿があった。



(今の航海も十分怖いけど、あいつの実力はこんなものじゃないからなぁ…)