ママの手料理

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ガタンッ………


強い衝撃と共に身体が大きく揺れ、私ー丸谷 紫苑ーはまつげを震わせた。


(何…?)


目を開けようとするけれど、目が何かに覆われていて開けることが出来ない。


「ぁ、っ…」


何?、と言いたくて口を開けたのに、出てきた台詞は意味をなさないもので。


私は口に何かをくわえているようで、それが邪魔しているのだ。


(何?どういう状況?)


手で顔をぺたぺたと触るーはずが。


(は!?)


後ろで組んだ手が、背中から全く動かない。


引っ張っても何をしても手が動かなくて、そのうち足も動かないことに気づく。


「…っ、」


手首を必死にねじ曲げた私が触れたものは、


(何これ、…縄!?)


自分の手首と胴体に巻かれた、ごつごつとした固い縄のような何か。


(ちょっと待ってどういう事、えっ!?私何したの!?)


状況がまるで掴めなくて、うつ伏せに近い形でどこかに横になっている私は必死で蛇のように首を持ち上げ、見えないのにある人達の姿を捜し求めた。


(笑美さんは、伊織は!?皆はどこ?)


どうしてこんな事になってしまったのだろうか。



(…そうだ、私、伊織のタピオカを飲んで眠くなって寝ちゃったんだっけ)


私が眠っていた間に、何が起こったのだろうか。