ママの手料理

エレベーターの扉が開き、4階に足を踏み入れた琥珀は鼻で笑いながらそう呟いた。


キャラ変の次元を超え、厨二病と言っても過言ではない彼の自己紹介の仕方には、流石の琥珀ですら呆れて何も言う気が起きなかった。


傍から見るとオフィスの様な此処では、ざっと100人程のOASISの姿が捉えられる。


先程の銀河の挑発もあり、OASISの人間達はmirageの2人の姿を捉えるなり獣のように叫びながら一斉に琥珀達に向かって飛びかかってきた。


(…いや、マジで獣かよ)


彼らが一目散に自分の元に走ってくる姿がシュールに見え、思わずポーカーフェイスを崩壊させかけた琥珀の後ろでは。


「狂犬に言われる前に俺が同じ事考えてたわボケナスが、おらおら死んじまえくそったれ!」


前から迫り来る獣の足音よりも大きな咆哮を上げた壱が、勢い良く銃を撃った。



そして無情にも、彼らのイヤホンはオフになっておらず。


「宇宙で最初に生まれた生命はこの俺だ、分かったらつべこべ言わずに派手に行こうぜお前ら!壊滅だァ!」


彼らの愚痴や何やらが全て筒抜けで聞こえていた銀河は、皆の耳に聞こえるように大きめの声でまた決め台詞を発した後、にやりと微笑み。


「おっと、武器貯蔵庫のパスワード解除出来たわ」


どこにあったのか、車の中でスルメイカをつまみとして食べながらガッツポーズを決め込んだ。