ママの手料理

『“お前は誰だ?”と思ったそこのお前、耳の穴をかっぽじって聞け!俺はmirageのユニバース、天才ハッカー銀河様である!俺を派手に敬い、称えるがいい!』


その意味の分からない自己紹介の仕方に、最上階の空気は一瞬にして凍りついた。


ベータは自分の身体から一瞬にして鳥肌が出現するのを感じ、会長と呼ばれた男は自分の額に青筋が浮かぶのを感じた。


『この俺のアインシュタインより賢い脳みそのお陰で、ここの防犯カメラは全てハッキング済みだ。今この時点で、“何だこいつ、死んじまえクズ野郎”と思ったそこのお前、二度は言わねぇから心して聞けよ』


淡々と話すその声の主は、おもむろに一呼吸置いた後。


『俺らは今日、OASISを壊滅させる。せいぜい白装束にでも着替えて切腹の準備でもしとけよ、OASISの会長さぁぁん』


余裕にまみれた大声で決め台詞を発し、くっくっくっと声を上げて笑い始めた。



そして、プツリとスピーカーの電源が切れた音が聞こえた直後。


「…何をグズグズしている!ここに居る人間は今すぐにmirageとの応戦に向かうように指示を出せ!4階で食い止めろ!mirageはたかが6人、どうせあいつらの目的は宝だ、宝を盗まれる前に全員殺してしまえ!」