ママの手料理

そんな俺の隣では、


「『警察を呼ぶ』?この俺に対してそんな事を言うなんて随分と肝が据わってるんだな、あ?」


と、現役警察官である琥珀がまたもや小声で悪態をついていた。


そんなOASIS同士のくだらぬ言い争いに対し、闘いの始まりとも言える戦火をあげたのは、


「…今までこれずっとサングラスって言ってきましたが、実はこれ色覚調整眼鏡なんです!馬鹿にしないでもらってもいいですか」


むすっとした顔でそう言いながら勢い良く銃を発砲した、航海だった。


言い終わったか終わらないうちに銃を肩の高さまで上げる動作には、俺ら味方から見ても一瞬の隙もなく。


パンパンッという、発砲にしては妙に軽々しい音が響いた直後。



「伏せろおおおっ!」


「mirageが発泡したぞ、応戦だああっ!OASIS、応戦っ、……」


カウンターの奥に間一髪でしゃがみ込んだ彼らの声が徐々に弱々しくなり、遂には消えた。


(湊お手製のBB弾、効果てきめんだねぇ)



俺らmirageが盗みの際に必ず使う銃の中には、湊が手作りしたBB弾の鉄砲も含まれている。


そのBB弾には特殊な強力睡眠薬が塗られており、発泡後にはそこから薬が煙状になって排出される。


そして、その煙を吸い込んだ人達は戦闘不可能となり、気絶したかのように数時間は眠ってしまうのだ。