微笑みながら横を向くと、パソコンの画面を睨みつけたままの銀河の口角が1ミリ上がったのが分かった。


(全く、感情表現が苦手なんだから)


嬉しい時は素直に笑顔になって、感謝の気持ちを伝えたい時は素直にありがとうと言えばいいのに、そういうあまのじゃくなところも彼の良い所だと思う。


「そういえば皆、僕が前に言った事覚えてる?この盗みは決して生半可なものじゃないんだ。紫苑の家族に対する想いの詰まった大切な復讐なんだからね」


信号が青になり、アクセルを踏みながら僕は皆に向かって尋ねた。


「そんなこたぁ分かってる、耳にタコができるわ」


間髪入れずに聞こえてくる壱の返答に被せる様に、


「つまり、mirageという家族を2回OASISのせいで失ったと考えればいいんですよね?そんなの死んでも許せません、僕の心の中では正義の炎がメラメラと燃え盛っています」


いつだったか、僕があげた例を持ち出しながら航海が模範解答を口にしてくれた。


「そう!その通り!そうやって考えた時に生まれてくる怒りを力にして、心で闘うんだ。そうすれば、皆紫苑と同じ気持ちになれるから」



あれは、紫苑に自分達がmirageであると伝える前の事だった。