「私の幹部が羽目を外した時はどうなるかと思ったが、神はどうやら私に味方してくれているようだ」


そう言いながら、会長は自分の幹部の方に椅子をくるりと回す。


瞬間、男の言葉を聞いていた、小柄で坊主頭の“アルファ”と呼ばれた男と、つい先程まではしゃいでいた“ガンマ”という男が一斉に床に頭をつけた。


「誠に申し訳ございませんでした」


「この恥辱は、今日必ず払拭してみせます」


その様子を氷のような冷めた目で見つめた男はふっと笑い、電話に向かって言葉を続けた。


「そんな事より、お前の活躍には感謝している。これでOASISも少しは潤うな」


『滅相もない…有り難き幸せ、しかとこの胸に受け取ります』


ニューの緊張気味の言葉を聞き、男はまた微笑んだ。


「…ところで、mirageとやらは3時に此処に攻め込むということで合っているな?」


『はい。…ただ、最初はmirageは絵画目的として攻め込むので、武器貯蔵庫は開けなくてよろしいかと』


「そうだな、お前の考えが一番正しい。そもそも、6階のパスワードがmirageのような低脳に解除出来るかが問題だがな」


電話を切った後、その男ははっはっはと声を上げて笑い、余裕をかわして肘掛け椅子に寄りかかった。


「3時まであと40分。この勝負、OASISの勝ちだなあ」


その間も、幹部である“アルファ”、“ガンマ”は土下座をしたままだった。