もちもちの黒玉を噛んで飲み込んだ後、私は大きく頷いた。


「やばいこれめっちゃ美味しい!やっぱり壱さんには作らせない方がいいよ」


こらこら、そういう事言わないの!、と、私の座るソファーに近づきながら焦る伊織を見て、私は声を上げて笑った。


「明日クリスマスだからさ、またタピオカ作ってよ。皆で飲みたい」


彼は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに笑顔で頷いた。


「もちろん。紫苑ちゃんの為なら喜んで」


へへっ、とお互いに笑い合い、私はまたタピオカミルクティーを口に含む。




そうしているうち。


(…ねっむ、)


緊張のせいで早起きして疲れたのか、何だか眠くなってきた。


「…ねえ伊織、私ちょっと眠くなってきたから寝るね。何かあったら起こして欲しい」


ふわあぁっ、と欠伸をしている間にも、私の瞼はどんどん下がってきて。


その異常な程の眠気に耐えきれず、手から力が抜ける。


タピオカが入ったプラスチックのコップが滑り落ち、真っ白なカーペットに黒玉とミルクティー色の液が染み込んでいくのがぼやけて見えた。


「紫苑ちゃん、疲れちゃったんだね。…大丈夫だよ、おやすみ」


いつの間にか私の真後ろに立っていたのか、情報屋の声がやけに大きく聞こえた。