そんな私に気づいたのか、彼は安心させるように私に笑いかけてきて。


(あ、そう言えばそうだよね)


言われてみれば、伊織はここの家族の中で唯一この家に住んでいない。


食事を共にしたり、ほぼ毎日の様に顔を合わせているけれど、いつも寝る前にはここから近いと言っていた自分の家に帰ってしまう。


｢…でも今は、伊織は信用されてますよね、？｣


これからmirageは私の敵討ちと絵画を盗みにOASISに行くわけだから、その前に仲間割れがあったら困るのは私でも分かる。


そう思い、私が恐る恐る口を開くと。


｢もちろん！今は伊織もmirageとして活躍してる時もあるし、パパの手料理では仁とも仲良くやってるみたいだし、それより何より、情報屋としてOASISの事を教えてくれるからね。伊織の事は本当に信頼してるし、彼を家族の一員として迎え入れられて僕も嬉しいよ！｣


湊さんは、満面の笑みを浮かべて答えてくれた。


｢…あいつはmirageとしても使える奴だからなぁ｣


カタカタと止むことのないタイピング音が止んだと思ったら、銀ちゃんの同意の声も聞こえてきた。


｢そっか…なら良かった！｣