「や、……っ、来ないで、…!」
すらりとした長身がこちらに接近してくるから、男の人がもう巨人にしか見えなくて。
怖くて怖くて、必死にそこから逃げ出そうとするけれど、膝が笑ってどうにも出来ない。
しかも、呼吸が上手く出来ないから苦しくて苦しくて。
「えっ?その状態で来ないでって言われても…。君、過呼吸起こしてるよ」
(過呼吸?何それ、)
初めて聞く単語に驚く私。
そんな私を見た彼は、
「こんな所でしゃがんでたら悪化するだけだから、こっちおいで。ベンチ座ろ?」
と、馴れ馴れしく私の肩を支えようとするから。
「さ、……触らないでっ!」
急に弟達や妹達の死に際の声が脳内にこだまし、私は恐怖で目を見開いてしゃがんだまま後退りをした。
彼の姿が、見た事も無いお父さん達を殺した殺人犯に思えたからだ。
この現象をフラッシュバックと呼ぶ事を知ったのは、もう少し後の話。
「ええっ、でも過呼吸悪化したら呼吸出来なくなって死んじゃうかもよ?そんなの嫌でしょ?ね、ベンチに移動しよう」
最初は驚いた男の人だけれど、彼は次の瞬間また私の肩に手を触れた。
「やだっ……!」
涙でぐしょぐしょになった顔を拭きながら、私は小さい子供の様に首を振る。
すらりとした長身がこちらに接近してくるから、男の人がもう巨人にしか見えなくて。
怖くて怖くて、必死にそこから逃げ出そうとするけれど、膝が笑ってどうにも出来ない。
しかも、呼吸が上手く出来ないから苦しくて苦しくて。
「えっ?その状態で来ないでって言われても…。君、過呼吸起こしてるよ」
(過呼吸?何それ、)
初めて聞く単語に驚く私。
そんな私を見た彼は、
「こんな所でしゃがんでたら悪化するだけだから、こっちおいで。ベンチ座ろ?」
と、馴れ馴れしく私の肩を支えようとするから。
「さ、……触らないでっ!」
急に弟達や妹達の死に際の声が脳内にこだまし、私は恐怖で目を見開いてしゃがんだまま後退りをした。
彼の姿が、見た事も無いお父さん達を殺した殺人犯に思えたからだ。
この現象をフラッシュバックと呼ぶ事を知ったのは、もう少し後の話。
「ええっ、でも過呼吸悪化したら呼吸出来なくなって死んじゃうかもよ?そんなの嫌でしょ?ね、ベンチに移動しよう」
最初は驚いた男の人だけれど、彼は次の瞬間また私の肩に手を触れた。
「やだっ……!」
涙でぐしょぐしょになった顔を拭きながら、私は小さい子供の様に首を振る。



