しかも今の彼女は俺らの家族の一員だ、血の繋がりなんて関係ない。


震えている紫苑ちゃんを見つけたのは俺だし、だから彼女を助けてあげたいという気持ちも人一倍ある。


(まあ、これが理由って事で)


勝手に自己完結した俺に、


「……家族、ね…」


伊織は、何とも言えない表情を俺に向けて呟いた。


その横に立つ仁は、何となく悲しそうな瞳をこちらに向けていた。





「………、」


深夜。


「…ちょっと待って、それは無い無い!何使って作るの!」


「…いやだからって、そんな無茶な……、」


航海の部屋から聞こえる航海と大也の大声に、私は暗闇の中であからさまに顔を顰めた。



元々、今日も今日とてことごとく悪夢に打ちのめされた私はつい先程航海の部屋に逃げ込んでいた。


それなのに、


「うっぎゃあ!…びっくりした紫苑ちゃんかー、ノックしてよね全くもう」


いつだったか私が寝かせてもらった経験のあるベッドには航海の代わりに大也が寝そべり、航海は床に座って自分の携帯を覗き込んでいた。


皆が私を避けていると思っていた誤解が解けてようやく航海の部屋に来れたのに、まさか大也がまだ居座っているとは夢にも思っていなかった私は面食らってしまって。