ママの手料理

するとその瞬間、サングラス越しでも何となく分かる程目を見開いた航海は、


「キューピットを舐めないで下さい!この世の全リア充を生み出しては爆発させているのはどこの誰でしょう?そう、僕です!」


と、壱さんに向かって叫んだ。


つまり、自分はサイコパスではなくてキューピットだと言いたいのだろう。


それにしても叫びの内容が何とも悲しい。


「申し訳ないね航海君、リア充になれなかった悲しき乙女達との相手をしているのは誰だと思っているのかな?売り上げNO.1看板ホストの異名を持つこの俺だよ」


すると、彼の叫びを受けた大也が自身の髪をかきあげながらドヤ顔で自分の事を指差した。


「散れクソホスト」


壱さんの口から放たれる声は、仁さんと違って低くて怖くて。


これだから全員男の家族は困るんだよな…、と、私が密かに肩を落とした時、大きくため息をついた湊さんが声を張り上げた。


「全くもう、どうしてこの家はこんなにうるさいのかな?今大切な話してる途中でしょ!僕を誰だと思ってるの、ママの手料理の店長でmirageのリーダーだよ!リーダーの言う事は絶対でしょ、ほら壱静かに!航海も煽らないで!少しは静かな伊織を見習いなさい!こら大也、どさくさに紛れて琥珀のお茶飲まないの、琥珀怒ってるでしょ!」