ママの手料理

だから。


「じゃあサンタさん、もう1つお願い事があるんだけど、」


もしもOASISの人達を逮捕出来なかったとしても絶対にこれだけは叶えて欲しくて。


「“サンタさん”?気持ち悪ぃ、反吐が出るわ」


大袈裟に顔を顰めて舌を出してみせた琥珀を綺麗に無視して、私は口を開いた。


「クリスマスは、家族皆揃って笑顔で過ごしたいの。だから、…」


誰1人、欠ける事がないように。


「出来るに決まってんだろ、俺を誰だと思ってる」


私の言葉に、パソコンを我が子の様に優しく撫でていた銀ちゃんが口を開いた。


「キリストも土下座する天才ハッカー銀河様だ。その脳みそは宇宙よりも広く、太陽よりも熱く、海よりも深」


「出てけ厨二病」


(…待って、銀ちゃんハッカーだったの、!?)


静かに息を飲んで驚く私を後目に、壱さんは横目で銀ちゃんをしっかりと睨み付けた。


「最後だけクオリティー小さくなったの無駄に笑えますね、それを言うならクレーターよりも深く、ですよ」


ふふふっ、と、続いて明らかに棒読みの笑い声をあげた航海に向かって、またもや彼は、


「黙れサイコパス」


と、低い声を出す。