ママの手料理

まさか、絵画を盗む事より先に私の家族を殺した犯人を盗もうと考えていたなんて。


それに、ただこの家に居候している身寄りの無い子供の為に、どうしてそこまでしようと考えてくれたのだろう。


私と笑美さん以外は全員男だし皆個性が強いから、意見の一致も難しかっただろうに。


それに、むやみにそんな事をしたら怪我を負ってしまうかもしれないし、危険が沢山なのに。


湊さんの説明に、私は短い返事をする事が精一杯だった。



｢紫苑が荒川次郎を盗みたくないって言ったら、俺らはただ絵画を盗んで持ち主に返しに行くよー｣


優柔不断でなかなか判断が下せない私に、大也が笑顔で口を開いた。


｢でも待って、それって危険じゃないの、？怪我とかしない？｣


絵画を持ち主に返す事や荒川次郎を捕まえる事より何より、皆の無事が心配な私が下唇を噛みながら聞くと。


｢怪我？…んー、油断したら多少の怪我は負うかもだけど、でもそんなのかすり傷だろうしね｣


彼は親指を立てて軽く頷いてみせた。


私は彼らがどうやって盗みに行くかは何も想像できないけれど、彼らがどれ程自分達の力に自信があるかは簡単に想像できた。


｢それについては安心しろ、こっちにはサイコパス航海が付いてるからな｣