ママの手料理

現役警察官が元不良だなんて、そんな事が認められていいのだろうか。


いや、更生したという事だから喜ばしい事なのだけれど、また犯罪に手を染めるなんて事は…、


(あ、でも怪盗なのか…)


忘れていたが、彼は現役警察官であり現役怪盗なのだった。


表向きは正義、裏の顔は悪…何とも闇の多い話だ。



「何だよ、元不良が警官やってて何か悪い事あるか?あ"ぁ?そっちの世界の事を全部知り尽くしてると、族だったりヤクザ同士の対立を止めるのに役立つんだよ」


片足を椅子の上に乗っけてその足に頬杖をついた彼は、いかにもだるそうに私を睨んだ。


「は、はぁ…、」


「元不良だの何だのってくだらねぇ、そんなん昔の話だろ。本題に戻るぞ」


そんな私達の会話を聞き、元はと言えばこんな展開にさせたのは銀ちゃんなのに、その張本人が面倒臭そうに欠伸をしながら口を開いた。


「つまりお前の家族を殺したのはOASISだ。…そこでだ、紫苑。お前、OASISに復讐したいと思わないか?殺すとまでは言わねぇが、せめて荒川次郎をムショにぶち込みたいとは思わないか?」


「!?」


いつもは長く語る事の無いその口から飛び出た長文とその真面目な内容を頭の中で噛み砕き、銀ちゃんの言葉の意味を理解した私は目を見開いた。