ママの手料理

クリーナーで汚れ1つなくなった暗い画面に、自分の顔を映す。


可愛いの欠けらも無いノーメイクの顔に、眉毛付近まで伸びたくせっ毛の前髪、二重ではあるけれど大きくもない目。


この家に来てから意図的に食べる量は増やそうとしているけれど、前と同じでショックやストレスから痩せてしまった。


あんな弱り果てた姿で、家族の血を身体中に付けて大也に助けを求めたあの日から、私は何が変わっただろう。


犯人が誰かも分からないから警察は何も出来なくて、此処が本当の家では無いから結局は私に本当の居場所はないのかもしれなくて。


私1人では、何も出来ないし動けない。


(はぁ………)


自分の存在意義が分からない、生きている意味が分からない、生と死の淵から2回も脱出出来た理由が知りたい。


それからもう1つ、何故皆が私に対する態度を急に変えたのかを知りたい。


(居心地悪過ぎ…)


何度目か分からないため息をついて、私がスマホをベッドに投げてから自分もその上に寝転んで数分後。



「…紫苑ちゃーん、夕飯出来たよ。おいでー」


いつもよりも声のトーンが若干低めの大也の声が聞こえてきた。


「んー、今行くー」


(私嫌われたかな?もう最悪なんだけど)


気分が優れずもちろん食欲もないまま、私はゆっくりと階下へ向かった。