余りの寒さで感覚が無くなった私の手に、そっと彼の手が乗っかる。


「うん」


どんなに私に笑顔を見せようが、今の大也が無理をしている事くらい私だって分かる。


何せ、私が迎えに行くまで2時間も公園で泣いて悩んで苦しんでいたはずだから、きっと明日も彼のテンションは低いだろう。


(……そうやって聞くと、大也が琥珀を見る時の目って凄く優しくて綺麗だった気がするな)


もう何処にも行って欲しくない、と、一緒に手を繋いで帰りながら、私は独りごちた。


彼の恋はどうなってしまうのだろう。


私は応援しているけれど、告白はするのだろうか、それとも諦めるのだろうか。


どちらにせよ、私は彼と琥珀の関係に口出しするつもりはさらさらないし、遠くから見守ろる決心を固めていた。



「お昼抜き!?…琥珀、君は何を考えてるの」


湊さんの声で我に返った私は、その答えを求めて琥珀を見やったー正確には睨んだー。


「このチビには、これはダイエットの一環だと洗脳させといたから大丈夫だ」


「いや待ってよ、それ初めて聞いたよ?」


すらすらと嘘を並べ立てては私の方を見て少しだけ口角を上げる彼が、憎くてたまらない。


私のお腹は先程からずっと鳴っているのだ、彼の減らない口をガムテープで塞いでやりたい。