あれから2日程経ち、大也のテンションは完全に前までと同じ様に戻っていた。


「紫苑ちゃん今日も事情聴取だったんでしょ、お疲れー!夕飯ピザだって!」


「え、ピザ!?今日琥珀のせいでお昼抜きだったの、食べる食べる」


夜、事情聴取から帰宅した私と琥珀に話し掛けてきた大也はいつも通り明るくて、けれど琥珀を見つめる瞳には私の時とは違う何かが感じ取れる。




あの日、彼は私がどんなに説得しても帰ろうとしなかった。


私が恥ずかしくなりながらもあんなに良い台詞を言ったのにも関わらず、だ。


「ほら帰ろう、皆心配してるから」


「やだやだ、此処に残りたい」


幼児のイヤイヤ期かと勘違いしてしまう程涙を拭きながら駄々をこねていた彼に、私もどうしようかと頭を悩ませていた時。


不意に、大也のスマホに琥珀から怒りの着信が入って来て。


『お前何処居んだよさっさと帰って来い、お前のせいで仁がうるさ過ぎてこっちは寝れねぇんだよクソが』


折角の睡眠を邪魔されてかなりご立腹の様子の琥珀の声に覆い被さる様に聞こえて来るのは、


『大也ああぁああっっっー!何で僕を置いて居なくなるのぉぉおおお!?折角一緒に住めたのにいぃぃいいああぁぁああっっ!』


と、物凄く近所迷惑なレベルで叫びまくる仁さんの金切り声。