そこには、包丁があった。


床に落ちていたのではなく、お父さんの背中に刺さっていた。


それは、暗いこの場所でも判別が出来る。


包丁が刺さったまま、お父さんは死んでいったのだ。


「や、………!」


怖いとか、気持ち悪いとか、そういう感情も今は感じなくて。


急に家に来た人達は、お父さんを包丁で刺して殺した。



皆、死んだ。




「……私を、置いて行かないでよ………、!」




寒さも何も感じない。




私は、また独りぼっちになった。